ねむりのおはなし

「私たち人生の1/3は眠りの中」と聞くと「えーっ!そんなに寝てるの!?」「もったいな~い!」と思うかもしれません。
でも、それだけ眠りは大事だ!ということ。
毎晩の眠りの一番の役割は『こころとからだの休息』にあります。あなたの睡眠は十分足りていますか?

ねむりのおはなし目次

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  • 人はなぜ眠るのか
  • 寝る子は育つってホント?
  • 寝返りの3つの役割
  • レム睡眠とノンレム睡眠
  • 寝る前にしてはいけないこと
  • 寝だめについて
  • 環境づくり
  • 睡眠と免疫の関係


人はなぜ眠るのか

脳と心身の疲れを取り除く作用
日々の仕事や学校、遊びなどでエネルギーを消耗すると同時に疲れもたまるもの。眠りで脳と身体を休めることにより、
その疲れが解消され、毎日を元気に過ごせます。
ストレスを取り除く作用
日々の生活の中で、人は言動や環境、プレッシャーなど、知らず知らずのうちに心が疲れたり、緊張したりしています。
その精神的な疲れを眠りがリセットしてくれます。眠るとスッキリとして嫌なことを忘れられるという方がいますが、
まさにその効果があります。
ホルモンを分泌して再生する作用
眠りには、ホルモンを分泌して再生する働きがあります。一番わかりやすいのが、肌の再生や子供の成長です。
睡眠中には、成長ホルモンやメラトニンなど多数のホルモンが分泌されます。
「美肌は夜つくられる」と言うように、ホルモン分泌はとても大切です。
眠気は大事なサイン
世界には、いろいろな人がいるもので、どれだけ眠らないでいられるかを試した人がいます。1964年にアメリカの少年が達成した264時間12分が、公式に残る最長不眠記録。なんと11日間も眠らなかったことになります。
なんだ、それなら少しくらい睡眠不足でもへっちゃらだ!と思ったら大間違い。不眠記録に挑戦した少年は幸いにも命に別状はありませんでしたが、人間の体は、十分な睡眠を取らないと壊れてしまうようにできています。
人間の体は通常、疲れがたまると起き続けていられません。ところが、疲れが度を超すと体の仕組みが狂い、眠いはずなのに眠気を感じない!お腹が空いているはずなのに空腹感がない!という状態になることも・・・。
睡眠不足や不眠は肥満や高血圧などの生活習慣病と関連しているとも考えられているようです。
人にとって「良く眠ること」は「良く生きること」 眠りを大事にしましょう。

2.寝る子は育つってほんと?

昔から「寝る子は育つ」と言われますが、本当でしょうか?
「眠り」の効用を大雑把に言えば「心と身体を休めて明日への活力を生むため」と言えますが、もう少し細かく見てみましょう。
みなさんの通常体温は何度ですか?人間の平均体温は37度前後ですが、じつは眠っているときは体温が下がります。
夜の7時~8時ごろにピークとなる体温は、眠りとともに徐々に下がり、明け方4時ごろには通常体温より1度ほど下がります。
これは、エネルギーの代謝を抑えて、体をリラックスさせているのです。
脳の温度も下がります。日中、一生懸命働き続けた脳をクールダウンさせ、脳のオーバーヒートを防ぐのです。

その間、一方では、さまざまなホルモンが出て、疲れた体を修復しているのです。その一つが成長ホルモン。
だから「寝る子は育つ」のです。

睡眠は新陳代謝を盛んにします 幼児期に入ると、深いノンレム睡眠が目立ってきます。そして、入眠直後の深いノンレム睡眠には、特別の意味があります。この熟睡時に脳下垂体から、成長ホルモンが大量に分泌されるからです。
成長ホルモンは骨を伸ばし、筋肉を増やし、新陳代謝を盛んにする働き
があります。

成長期ではない自分には「もう関係ない」と思うかもしれませんが、そうではありません。
成長ホルモンにはタンパク質を修復する働きがあるので十分な睡眠は、お肌を回復させ若返らせてくれる
のです。

寝返りの3つの役割

寝返りをうつ大切な理由とは 寝返りは、寝相の良し悪しにかかわらず、一晩に20~30回くらい打つと言われています。
個人差はありますが、多すぎても少なすぎても眠りに良くありません。
寝返りを打つことには大切な理由があるのです。
寝返りの役割
ふとんの温度や湿度の調整
汗をかくと布団の中の温度や湿度が上がっていきます。ずっと同じ姿勢で寝ていると熱がこもるので、寝ている間でも「暑い」と感じ、寝返りを打つことによって温度や湿度を調整しています。
血液の流れを良くする作用
同じ体勢で眠っていると血行が悪くなり、うまく酸素や栄養が運ばれず、疲れがとれにくくなります。
寝返りを打つことで、血液の流れが良くなります。
睡眠のリズムをとるスイッチの働き(レム睡眠・ノンレム睡眠)
寝返りには睡眠のリズムをとるスイッチの働きもあります。
寝返りを打つことで「レム睡眠・ノンレム睡眠」の切り替えを行っています。
寝返りをしっかり打つために、身体や環境にあった最適な寝具を選ぶよう心掛けましょう。

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠は、その深さと特徴によって「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分類することができます。
眠りに落ちると、まず「レム睡眠」が始まり、しばらくすると「深いノンレム睡眠」のステージに入ります。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」はセットで発生し、平均的には約90分サイクルで繰り返します。
布団に入ってから目覚めるまでの間「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」は交互に規則的に繰り返します。
例えば6時間睡眠の人の場合、約90分サイクルを4回繰り返しているわけです。
この90分サイクルは、5歳~10歳程度の幼少期に形成されます。
※なお、最初の約3時間は「ノンレム睡眠」の占める割合が高く、その後は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に発生し、
 起床が近づくにつれて「レム睡眠」の時間が長くなってきます。
※「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の“レム(REM)”とは、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字です。
「レム睡眠」とは・・・?
レム睡眠 身体は休息状態なのに、脳は覚醒に近い状態で活動している睡眠のことを「レム睡眠」と言います。
「カラダの眠り」と考えると分かりやすいですね。こうした睡眠状態においては、顔の筋肉が軽く痙攣したり、眼球が回ったりします。眼球が動くということは、脳が活動している証拠です。

「レム睡眠」時は、脳は深い休息状態に入っていないため、夢を見ることが多いようです。
明確な夢を見て、夢の中で何かを目で追いかけているから、眼球が動いているとも言われています。「レム睡眠」の最中に起こされると、夢を見ていたことをハッキリと認識できる傾向があります。

人は眠りに入ると、どんどん「深いノンレム睡眠」の状態に入っていきます。
1時間ほど経つ頃には、逆に眠りは少しずつ浅くなり始め、入眠から約90分後には「レム睡眠」に入ります。
この最初の「レム睡眠」は、約10分間持続します。
「レム睡眠」は、一夜の睡眠のうち後半部分に、より多く睡眠全体に占める割合は約20%です。

「ノンレム睡眠」とは・・・?
「レム睡眠」以外の比較的深い眠りの状態を「ノンレム睡眠(レム睡眠ではない、という意味)」と言います。
細胞の新陳代謝を高めたり、免疫力を強化する活動が「ノンレム睡眠」の時間に行われていると言われています。
筋肉の活動は休止していませんが、脳は休息状態になります。
体温は少し低くなり、呼吸や脈拍は非常に穏やかになってきて血圧も下がります。

また、大脳の活動が休息状態に入るため、こちらは「脳の眠り」であるとも言えます。
いわゆる「ぐっすり寝ている状態」ですので、多少の物音がしたり、軽くゆさぶられても目が覚めることはありません。
「ノンレム睡眠」の間も夢を見ることがありますが「レム睡眠」中に見る夢ほど、はっきりした内容ではなく、多くの場合覚えていません。

眠りに落ちた直後の3時間の間に「深いノンレム睡眠」は集中的に発生します。
最初の3時間に熟睡し「深いノンレム睡眠」をしっかりとれば、起きたときに「熟睡できた」という満足感が高くなります。
どうして「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返すの?
なぜ、人は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を交互に繰り返す睡眠サイクルを守っているのでしょうか。
眠りに落ちてから目が覚めるまで、深い眠りのままぐっすり眠った方が良い感じがしますよね。
しかしながら、もし最初から最後まで「ノンレム睡眠」だけだと、長時間にわたって脳の活動レベルが休息状態となり、脳の温度も下がってしまうため、起きたときに正常な活動レベルまで戻すことが難しくなります。
途中に適度に「レム睡眠」を挿むことで、脳の温度が下がりすぎることを上手に防いでいるわけです。
この仕組みがあるため、朝起きたとき、大脳がスムーズに活動を再開し、一日を始めることができるのです。
美肌をつくるノンレム睡眠

成長ホルモンの役割は、子供の成長促進だけではありません。大人になっても、糖やタンパク質、脂質などの代謝に重要な役割を果たしていて、特にタンパク質の合成を促進します。
この結果、昼の間に消耗した細胞を修復したり、体全体の疲労回復を助けます。

徹夜をしたり、睡眠が浅かった翌日、お化粧のノリが悪いのは、成長ホルモンが出ず、皮膚の新陳代謝が弱かったためと考えられます。
成長ホルモンが多量に分泌される、入眠直後の深いノンレム睡眠は、美肌のためにも欠かせません。

寝る前にしてはいけないこと

眠るためにはリラックスすることも大切です。
しかし眠りを妨げないように、身体が安心して休めるように気をつけなければいけないことがあります。
寝る前のアルコールやカフェインは控えましょう。
飲む時間を気をつけましょう アルコールを摂取すると眠くなるので、寝る前に飲むと心地よいと考えがちです。
しかし、アルコールは分解されると、のどが渇いたり、トイレに起きたりして眠りが浅くなったり途中で目覚めたりするので、おすすめできません。
コーヒーや紅茶などのカフェインも強い覚醒作用(4~5時間)や利尿作用があるため寝付きを悪くします。
寝る前のお酒やコーヒー・紅茶などは飲む時間帯や量に気をつけましょう。

タバコも控えましょう。
たばこは寝る前は控えましょう タバコに含まれるニコチンは、血圧を上昇させ、心拍数を上げる働きがあるため寝付きを悪くしてしまいます。
寝る前は極力控えましょう。

スマホやパソコンも控えましょう。
PCやスマフォなども寝る前は控えましょう 寝る前にスマホやパソコンを使う方も多いと思います。しかしスマホやパソコン、携帯ゲーム機などの光を浴びることで睡眠物質のメラトニンの分泌を妨げられてしまいます。
最近では、コンビニの光をたくさん浴びることも寝付きを悪くすると言われています。
寝る前は、ほの暗い光の中で、のんびりとした気持ちで過ごすように心掛けましょう。

寝だめについて

ノンレム睡眠段階と眠りの程度 睡眠には、先にお話した「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の深さの段階があり、一晩でいろいろ変化しています。
人の睡眠は90分単位で代わります。

まず『段階1』ごく浅い眠りから始まり、「ノンレム睡眠」を経てだんだん深くなり、また浅くなって再び『段階1」になるころ「レム睡眠」という睡眠に入ります。
通常、眠りに入ってから数時間は、この深い睡眠を含んだ変化を2~3回繰り返しますが、やがて深い睡眠は現れなくなり『段階1』と『段階2』の睡眠を繰り返すようになります。

そのため、仮に10時間の睡眠をとったとしても、最後の数時間は浅い眠りを繰り返すのみとなるため、単純に5時間睡眠の2倍の効果がある、というわけではありません。

しかし、平日にあまり睡眠が取れなかったなどで、休日どうしても長く眠りたい場合は、平日と同じくらいの時間に布団に入り、朝は平日の起床時間+2時間以内に目が覚めるようにすると、身体も対応できます。

環境づくり

寝具の心地よさはもちろん、スムーズな寝付きから朝まで、ぐっすり熟睡するための快適な眠りの環境とは
どのようなものでしょうか?
温度と湿度
寝室の温度は冬は15℃、夏は25℃、湿度は50%程度が理想的です。
エアコンは就寝一時間後に消えるように、また起床一時間前に点くようにタイマーセットすると良いでしょう。
一晩中つけっぱなしにすると、肌荒れや風邪の原因になるので注意が必要です。
また、エアコンの風が直接あたるようなところでの睡眠も避けましょう。
光(照明)
照明 寝室の明るさは30ルクス以下(ほの暗く何か見える程度)にしましょう。
光が直接目に入ると眠りを妨げてしまうので、フロアランプなどの間接照明がおすすめです。
朝は、太陽の陽射しで自然に目を覚ますのが理想的。しかし多忙な現代人にとっては朝も貴重な睡眠時間。
東の窓は雨戸を閉めたり、眩しさをシャットアウトする遮光カーテンなどもオススメです。

寝るときに気になるのが音。夜間の室内許容騒音レベルは40db以下(図書館ほどの静けさ)ですが、寝室は、さらに静かな方が眠れます。サッシを二重にする、カーテンをより厚手のものに取り替えるなどの工夫で、静かな環境をつくりましょう。
香り
香りの演出を香りには心身をリラックスさせ、眠りを誘う効果があります。
ポプリやアロマオイルなどで、まくら元に、ほのかな香りの演出
をしてみては?

家具
寝室内の洋服タンスなど、背の高い家具は圧迫感を招くため、できるだけ避けましょう。
どうしても置かなければならないときは、揺れ等で倒れないよう転倒防止の金具を取り付け 安心して眠れるようにしましょう。

睡眠と免疫の関係

風邪をひいて熱が出ると眠くなり、ぐっすり眠ると早く治ります。いくら薬を飲んでも、眠らないとなかなか治りません。
病気の回復に睡眠が不可欠であることは、古くから知られていました。

しかし、睡眠と免疫の関係について、科学的に研究されるようになったのは、1980年代の後半になってからです。
風邪をひいたときなどに眠くなるのは、免疫のメカニズムが積極的に睡眠を誘発しているからであることが分かってきました。
病気になると、熱を出して眠くなり、同時に回復しようとする力も出てきます。
眠ることで体を動かさなければ無駄なエネルギーを使いません。
そのエネルギーが免疫を高める方に振り向けられ、病気を治す
のです。

おわりに

ナポレオンは3時間、アインシュタインは13時間の睡眠だったという話もあり、睡眠時間には個人差があることは確かです。
でも、3時間や13時間というのは、極めて特殊な場合。
人間の健康を保つには、7~8時間の睡眠が必要と言われています。
睡眠時間と死亡率の関係を調べると、最も長寿なのは7~8時間の睡眠をとっている人。
長過ぎも短すぎも死亡率を高める
という結果が出ています。
睡眠の大切さに気付き、自分と家族の健康維持を心掛けたいものですね。